みにくいアヒルの子とは
私が、本作品を観たのは大学生の頃であっただろうか。
数十年の時を経た今でも、なぜかこの名作を思い出すたびに熱いものがこみ上げる。
ちょうど同じクールで、社会的ブームとなった木村拓哉と山口智子の「ロングバケーション」が、月9で放送されていたように記憶している。
私の周りでも御多分に漏れず、“ロンバケ”の話題で持ち切りであった。
しかし、生来のひねくり者である私は、ひとり真っ向から“ロンバケ”何するものぞ!とばかりに異を唱え、とある地味なドラマを推していた。
そのドラマこそが「みにくいアヒルの子」という学園ドラマなのである。
学園ドラマといえば「GTO」「教師びんびん物語」「3年B組金八先生」「熱中時代」など、名作ドラマの宝庫といえるだろう(ロートルゆえに古いドラマばかりで悪しからず)。
もちろん、上記作品はどれもが甲乙つけがたい珠玉の名作であり、そのストーリーには深い感銘を覚えずにはいられない。
しかし、私が学園ドラマの名作を一つ挙げるとすれば、「みにくいアヒルの子」と答えるしかないだろう。
いや、全てのドラマの中でNo.1かもしれない。
このドラマの配役は、岸谷五朗が主役の小学校教師・平泉玩助(ガースケと読む)を演じ、常盤貴子が幼馴染のまさ子役を務めた。
北海道の雄大な大自然で育った二人だけあって人間味にあふれ、少々変わってはいるが人の心の機微が分かる好人物である。
そして、二人の周りに個性的な面々が集い、子どもたちと涙あり笑いあり、そして人情ありという物語を展開していく。
それに加え、主題歌である松山千春の「君を忘れない」という曲がドラマの名場面と絶妙にマッチして、感動と余韻を残すのだ。
また、同じく松山千春の名曲「大空と大地の中で」も要所々でサントラとして流れ、この物語には欠かすことの出来ない重要な役割を担っている。
次回からは、今ではトンと見かけなくなった古き良き時代の香り漂う、学園ドラマの金字塔「みにくいアヒルの子」の名場面を振り返る。
最後に番宣よろしく、簡単なストーリーを紹介する。
ストーリー
一見すると、全く教師には見えない平泉玩助(以下ガースケ)。
誰よりも底抜けに明るく型破りなこの男は、故郷北海道の広大な大地にも負けぬ広い心と深い愛情を持っている。
だが、実は生まれてすぐに両親に捨てられ、親の顔を知らずに育った過去を持つ。
そんなガースケだが、北海道で教鞭を取っていた時に終生忘れ得ぬ経験をする。
その哀しみを胸に秘め上京したガースケが、小学校を舞台に子どもたちと体当たりで向き合っていく。
「良い生徒になるより、幸せな生徒になれよ」という思いと共に。
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